教員紹介

田崎 裕也

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専門分野

生理学

研究テーマ

1. 遺伝性心血管疾患の病原性遺伝子変異の特定と新規発症機序の解明

当研究室(林研究室)では、遺伝性心血管疾患(先天性QT延長症候群、Brugada症候群、家族性心房細動、若年発症徐脈、カテコラミン誘発多形性心室頻拍、肥大型心筋症、拡張型心筋症など)の症例に対して次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析を行い、検出された遺伝子変異がどのような機能的・形態学的異常をもたらし、疾患の原因となり得るかどうかを解明します。解析手法として、動物培養細胞を用いたパッチクランプ法のほか、体が透明なため、生きたまま心臓の動態を観察できるゼブラフィッシュの初期胚を利用して、心臓の形態学的な評価や、刺激伝導の機能解析などを行い、未だ明らかになっていない病原性遺伝子や新規発症機序を解明していきます。

2. 拡張型心筋症における新規発症機序の解明

遺伝性心血管疾患は、近年では次世代シーケンサーの登場により、疾患関連遺伝子が次々と同定されており、病的な遺伝子変異の報告数も増加の一途をたどっているところです。しかしながら、解決すべき課題は未だ残っており、網羅的遺伝子解析による更なる知見の集積が必要です。

拡張型心筋症は、心筋の収縮不全と左室内腔の拡張を特徴とする疾患で、予後不良かつ進行性の疾患として知られています。遺伝子解析が進んで、疾患関連遺伝子が続々と報告されていますが、未だ明らかにされていない遺伝子変異が多く存在することが予想されており、網羅的遺伝子解析の意義が高いと考えられます。また、収縮力がほぼ正常の症例でも、早期からの診断が重要であることから、遺伝子変異キャリアを特定するためのエビデンスの蓄積は急務です。私たちは、拡張型心筋症の疾患関連遺伝子を同定し、臨床診断への応用に貢献するだけでなく、疾患発生機序を解明することによって、これまでとは異なる新規の治療法の確立を目指して研究をしています。

これまでの研究業績

  • Tazaki Y, Sugitani K, Ogai K, Kobayashi I, Kawasaki H, Aoyama T, Suzuki N, Tabuchi Y, Hattori A, Kitamura K. RANKL, Ephrin-Eph and Wnt10b are key intercellular communication molecules regulating bone remodeling in autologous transplanted goldfish scales. Comp Biochem Physiol A Mol Integr Physiol. 2018;225:46-58.
  • Kitamura K, Andoh T, Okesaku W, Tazaki Y, Ogai K, Sugitani K, Kobayashi I, Suzuki N, Chen W, Ikegame M, Hattori A. et al. Effects of hyperglycemia on bone metabolism and bone matrix in goldfish scales. Comp Biochem Physiol A Mol Integr Physiol. 2017;203:152-158.

研究室からのアピール

私たちの研究室(林研究室)では、先天性QT延長症候群やBrugada症候群などに代表される遺伝性不整脈、肥大型心筋症や拡張型心筋症などの一次性心筋症に注目して、疾患の原因遺伝子の同定を試みています。患者さんのゲノムDNAを解析して検出された遺伝子変異がどのように不整脈や心不全を引き起こすのか、ゼブラフィッシュをモデルとして明らかにしています。このようにして得られた成果は実臨床に直結し、個別化医療の実現に貢献します。さらに疾患発症メカニズムの解明によって新しい治療法を開発できる可能性があり、大きな達成感を感じることができる研究です。循環器分野に興味のある方はぜひ私たちと一緒に研究しませんか?